こんにちは。
認知科学プロコーチのカミノユウキです。
今日はモチベーションの正体について話します。僕自身、約1年前にこの内容を知ったのですが、それまでに知っていたモチベーションに対する考え方と全然違っていたので、すごく衝撃を受けました!
一般的にモチベーションというと、「やる気」や「意欲」といった意味で使ってることが多いですよね。
「目標が決まったから最近はモチベーションが高い!」
「職場で嫌なことがあったから仕事のモチベーションが下がった。。」
モチベーションが高いと、積極的に行動ができたり、生産性が上がるので、成果が出やすく、仕事や人生がいい方向に向かっていきやすくなります。
なので、なるべくモチベーション高くありたいと思う人は多いはずですが、実際にモチベーションというものが何者なのか、モチベーションの高い低いってなぜ起きるのかについて、本当の意味で理解している人は少ないんじゃないかなと思います。
この記事では、モチベーションの正体とモチベーションを高い状態を作る方法を認知科学的に説明していきます。
目次
コンフォートゾーンとホメオスタシス
まず、モチベーションを語る上で大切なものが、“コンフォートゾーン”になります。
コンフォートゾーンとは、「ストレスや不安がなく、落ち着いた状態でいられる領域」のこと。もう少し簡単に言うと、「いつもの自分でいられる領域」のことです。
身近な例で言えば、自分の家のソファに座ってるときってリラックスしてますよね。住み慣れた家で毎日使っているソファだから落ちつくし居心地はいいはずです。こういったいつもの自分でいられる空間はコンフォートゾーンになります。
逆に、普段は行かない高級ホテルのラウンジのソファに座ったときって、ソワソワしませんか。周りが気になったり、何を注文しようか迷ったり、落ち着かないですよね。いつもの自分でいられない空間はコンフォートゾーンの外側になります。
また、特徴の1つとして、人間はなるべくコンフォートゾーンの中にとどまろうとする性質があります。ストレスや不安を感じる場所よりも、なるべく居心地のいい場所にいたいということです。そしてこのコンフォートゾーンに戻ろうとする働きのことを医学用語でホメオスタシスとも言います。
例えば、普段の体温が36.8℃の人が100℃のサウナに入ったとすると、徐々に体温は上昇しますが、体温が100℃になることはありません。
汗を出して36.8℃というコンフォートゾーン(いつもの自分)に戻ろうとするからです。
この汗を出すという体の反応がホメオスタシスになります。
また、寒い場所に行ったときには、鳥肌や体を震わすことによって体温を保とうとします。これも同様にホメオスタシスの働きです。
この体温を維持するという反応は、本人の意思とは関係なく、自動的に起こりますし、とても強力なものです。
なので、「体温を50℃まで上げてみる」といったことは不可能です。ホメオスタシスに対して気合と根性ではあらがえません。
モチベーションとはコンフォートゾーンに戻ろうとする働きのこと
このようにコンフォートゾーンに戻ろうとする働き(ホメオスタシス)はとても強力なんですが、実はこのコンフォートゾーンに戻ろうとする働き(ホメオスタシス)のことを別名モチベーションと呼ぶんです。
モチベーション
=コンフォートゾーンに戻る働き
=ホメオスタシス
例として、普段7時に起きている人が 、成功している早起きの人の本を読んで影響されて、5時起きをしようと決めたとします。
このとき「7時に起きる自分」というのがコンフォートゾーン(いつもの自分)で、「5時に起きる自分」というのがコンフォートゾーンの外側になります。
2,3日は続くかもしれませんが、ホメオスタシスが自動的かつ強力に働き、なんとしてでも7時起きの自分に戻そうとするんです。ほとんどの場合、気づくといつもの7時起きに戻ってしまいます。
聞き慣れない日本語ですが、このとき「7時に起きる自分でいることにモチベーションが高い状態」と言えます。
一般的には元の7時起きの自分に戻っているのでモチベーションは低いように見えますが、実はモチベーション自体は高く、その発揮される方向が元の7時起きの自分でいることに向かっているということなんです。
モチベーションを高めるにはゴールを設定してコンフォートゾーンをずらす
「コンフォートゾーン(いつもの自分)に戻る働きが、自動的かつ強力なら、5時起きになることはできないし、一生今の自分から変わることはできない…」と思うかもしれません。
ですが、1つだけ方法があって、それはゴールを設定して、現在のコンフォートゾーンを未来のありたい姿のコンフォートゾーンをずらすことです。
この説明のためにわかりやすい例として、数年前に流行ったビリギャルがあります。
高校2年生の偏差値30の落ちこぼれギャルが、猛勉強をして慶應義塾大学に現役合格するという話です。
もともとこのビリギャルの主人公は、小4レベルの頭脳で勉強ができないギャル仲間と遊んでいる落ちこぼれというのがコンフォートゾーン(いつもの自分)だったんです。
この状態だと、落ちこぼれの自分を維持することにモチベーションが働くので、勉強することすら続かないし、慶應に合格するなんて夢のまた夢のまた夢なんですよね。
それがなぜ実現できたのかというと、「慶應義塾大学に合格する」というゴールを設定したから。ゴール設定についてはまた別の記事で詳しく説明しますが、「慶應義塾大学に合格する」というぶっとんだゴールを設定したことで、コンフォートゾーン(いつもの自分)が「落ちこぼれ」から「慶應に受かってる自分」に変わったんです。
それによって、「慶應に受かっている自分」に対してホメオスタシスが自動的に強力に働くようになり、ギャル仲間との付き合いをやめて、予備校に通うようになり、深夜まで猛勉強を続けるなど行動が変わったんです。周りから見ると頑張ってるように見えますが、本人からすると、慶應に受かっている自分なんだから勉強して当然という感覚です。
「慶應に受かってる自分」に対してモチベーションが発揮されている状態です。
未来のありたい姿に向かうためにモチベーションを発揮させよう
モチベーションがない状態というのは実は存在せず、どんなときも強力に発揮されているんです。
ビリギャルの主人公の場合、もともとは落ちこぼれがコンフォートゾーンなので、落ちこぼれの自分であることに強力にモチベーションが発揮されていました。
ところが、「慶應義塾大学に合格する」というゴールを設定したことで、コンフォートゾーンがずれて、慶応に合格する自分であることにモチベーションが発揮されました。
なので、モチベーション自体は ゴールを設定する前も後も強力に働いているんです。
違いは、理想の未来に向かうモチベーションなのか、今の自分をキープするためのモチベーションなのかです。
もし、最近モチベーションが下がってるなと感じる場合は、ゴールが設定できていない可能性があります。
ゴールがない→モチベーションが今の自分を維持するために働く→現実が変わらない→楽しくない
みたいな負のループです。
ゴールを設定していないと、今の自分に戻るためにモチベーションが発揮されるということなんです。
なので、人生を変えたり、自分自身を変えたい場合は、ゴールを設定して理想の未来に向かうポジティブなモチベーションを発揮することが大事になってきます。
まとめ
まとめると、モチベーションの正体とはコンフォートゾーンに戻ろうとする力のことで、どんなときも強力に働いているんです。
ゴールがないと今の現実をキープする方向にモチベーションが働き(一般的に言うモチベーションが低い状態)、ゴールがあると未来のありたい姿を実現する方向にモチベーションが働きます(一般的に言うモチベーションが高い状態)。
仕事のやる気が出ないときに、自己啓発本やテンションの上がる動画を見たところでモチベーションは上がらない理由がわかってもらえたんじゃないでしょうか。
仕事のモチベーションを上げるには仕事のゴールを設定するしかないということですね。